契約形態、管理方法など、家を貸す際にどのような注意点があるのか解説
持ち家を遊ばせておくのが勿体ないから貸したいオーナーはどのような点に気をつけて大家業を始めれば良いのでしょうか。今回は家を貸す契約形態、物件の管理方法などについての概要と方法を選ぶ際の注意点について解説します。
家を貸すのにはどのような契約形態があるか
国が推奨しているくらいなので基本的にホームインスペクションをするデメリットはないですが、あえてあるとすれば心象の部分です。
普通借家契約
普通借家契約はいわゆる一般的な契約形態で、1年以上の契約期間を設けることが定められています。基本的に更新が前提の契約で、大家、借主どちらかが更新を希望しない場合は期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に相手方に通知しなければなりません。また、基本的に借主が更新を希望した場合、大家側に正当理由がなければ更新を拒否できません。賃料に関しては借主、大家それぞれから希望を申し立て、増減について協議することができます。
<普通借家契約の注意点>
普通借家契約は借主側の権利が非常に強い契約形態です。そのため、基本的に大家側からの契約終了はできないと考えた方が良いでしょう。例えば、万が一契約期間を1年未満に設定してしまった場合、強制的に期間の定めのない契約となります。つまり、契約更新をするかしないかは完全に借主側の決定によるものとなります。また、例えば3年更新の普通借家契約の場合でも、借主が更新したいといえば実際には3年の契約が半永久的に更新されます。仮に大家が契約を更新したくない場合でも、下記のような正当事由が認められないとまず通りません。普通借家契約を結ぶ場合の注意点は、手元に相当な長期間戻ってこない可能性があるため、本当にそれで良いか考えるべきということです。
- 借主が家賃を頻繁に滞納
- ペット不可物件でペットを飼育
- ゴミ屋敷等著しく汚い居住状況
- 近隣とのトラブル
上記のような事実が認められた場合にようやく契約更新を拒否できるかもしれないという具合です。基本的には普通借家契約は借主を保護する色が強い法律なので、大家側はこれをひっくり返すのに相当骨が折れると考えるべきです。一般的には立ち退き料を支払うことを条件に契約更新しないという交渉をすることが多いですが、相場としては家賃の6ヶ月分と言われています。
物件の管理方法
家は貸したらそれで終わりというわけではありません。物件の所有者はあくまで大家なので、補修やトラブル対応など、オーナーの責任で行わなければいけない管理業務が存在します。管理の方法には二つあります。
自主管理
自主管理ではオーナー自身が管理業務を行います。自分で行うことでコストを抑えられること、物件の状態を日頃から自分の目で確認できる、借主との関係を築きやすいなどのメリットがあります。
<自主管理の注意点>
一方、自分で物件の管理を行うのに労力や時間をとられるため、大家業を専業にしていない場合はかなりの負担になる可能性があります。一戸建ての家一軒やアパート一棟程度ならなんとかなるかもしれませんが、複数のアパートやマンションを保有している場合は専業大家でないと自主管理は現実的ではありません。
また、建物の設備の修理交換や補修などは工事の基本的な知識や技術が求められますし、管理業務にあたっては法的な知識が求められることもあります。また、借主との距離が近いことで人間関係がこじれたりトラブルが起こると、対応が大変になる可能性もあります。
さらに、自主管理だと集客の施策もオーナーが考えなければならず、集客の知識がないと空室が埋まらないリスクも高まります。
管理委託
管理委託は管理会社に管理業務を委託する方式です。具体的に委託できる業務としては
- ・空室管理
- ・入居者募集
- ・契約及び更新業務
- ・賃料の徴収
- ・借主からの要望やトラブルへの対応
- ・設備や建物の修繕
- ・退去や解約への対応
などが挙げられます。つまり、管理会社がオーナーの代わりにほぼ全ての業務をやってくれるというわけです。賃料未納での強制退去執行の手続きはオーナーがしなければなりませんが、通常運行している限りはオーナーがやることは非常に少ないです。本業が別にある方は基本的には管理委託を選ぶのが無難でしょう。
<管理委託の注意点>
管理委託はオーナー側の手離れが良い分、管理委託費によるコストがかかります。管理委託費によって物件の収支が悪化しないように注意が必要です。また、管理会社がしっかり管理業務を実施しているかは、実際のところオーナー側が確認するのが難しいため、契約時に管理会社が業務の実施状況をどのように報告するかはしっかり確認しましょう。法律では最低年一回以上書面による報告が義務付けられています。また、契約する際には極力複数社に見積りをとり、内容を精査するのがおすすめです。