リノベーションマンションの種類
リノベーションマンションには設計方法によって3つの種類があります。カスタマイズ度が高まれば高まるほど予算は上がります。
リノベーション済みマンション
不動産会社がすでに完全にリノベーションを済ませた状態で中古マンションを販売するケースです。イメージ的には新築並みに綺麗な内装・設備になった中古マンションと捉えれば良いでしょう。
すでに施工が完全に済んでいるので自分の好みが入る余地はありません。特にデザインにこだわりがなく、部屋が綺麗であれば満足という方にはおすすめです。新築並みの綺麗さとはいえ、値段は新築マンションよりも大幅に下がります。
パッケージ型リノベーションマンション
売り出し時にはまだリノベーションが済んでおらず、購入後にリノベーションを行います。あらかじめ用意された選択肢のうちから、キッチンはこれ、床はこれ、壁はこれ、天井はこれといった具合に選んでいくのがパッケージ型リノベーションマンションです。
ものすごく細かいカスタマイズはできませんが、ある程度好みの反映ができるので予算を抑えて好みの家を作りたい人にはおすすめです。金額もパッケージなのでわかりやすいです。
フルオーダー型リノベーション(ゼロリノベーション)
フルオーダー型リノベーションは全てを入居者の好みでゼロから作っていく方法です。フルオーダー型リノベーションは単に好みの家を作れるだけでなく、安全性が高いのも魅力です。
フルオーダーの場合、配管等含めて一度全ての設備を撤去しがらんどうの空間に戻します。目に見える部分だけでなく、通常床や壁に埋まってしまっている部分も新しくできるので「見た目はきれいだけどいざ住んでみたら水漏れがあった」というようなリスクが非常に少なくなります。
もちろん予算も工期も他のリノベーションマンションよりかかりますが、あらゆる面で最も満足度が高いのがフルオーダー型リノベーションです。
リノベーションマンションの予算
リノベーションマンションの予算に関しては、物件によってもそもそものベースとなる価格が違うので一概にはいえません。しかし、たとえフルオーダー型リノベーションをしたとしても、新築マンションを購入するよりは大幅に予算が抑えられるケースが多いです。
レインズによる調査データ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」を見てみましょう。売買が成約した新築〜築5年のマンションのm2単価ですが、84.39万円となっています。ここを基準として考え、築26~30年だと30.71万円です。つまり、新築の1/3近い価格になっているのです。
実際にはあり得ない仮定ではありますが、5619万円の新築マンションを購入した場合と、そのマンションを30年後にリノベーションした中古マンションを購入した場合の価格を比較してみます。「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」によると、新築〜築5年の平均的な成約額は5619万円、築26~30年だと1787万円です。つまり、同じ物件でも30年経てば4000万円近く安くなるのがわかります。
どんなに大掛かりなリノベーションをしたとしても、4000万円使うのは簡単ではありません。フルリノベーションで設備総取り替え、部屋全体にデザイナーズハウスレベルのこだわりを反映したとしても1500万円程度までには収まります。
ですので、築30年程度の中古マンションを購入し思い切ったフルリノベーションを行うことで、予算を相当抑えられた上に理想の住まいを実現できるわけです。
リノベーションマンションは資産価値が高い
リノベーションマンションのメリットはもちろん新築より安く理想の住まいを実現できることですが、もう一つ大きなメリットがあります。資産価値が下がりにくいのです。
先ほどのレインズのデータで築26~30年だと30.71万円がm2単価だと紹介しました。実は築31年以上だとむしろ上がり、32.42万円になります。もちろんマンション自体の状態によってもかなり上下はあるでしょうが、管理が行き届いている中古マンションの物件であれば購入後に資産価値が下がりにくいのです。
価値の下落が止まる築年数の基準が今は30年というデータが出ています。築30年程度の中古マンションをリノベーションして住み、もしまた売りに出すときに思いの外高値で売れる可能性があるというわけです。
リノベーションマンション購入の際の注意点
リノベーションマンションは自分の理想の住まいを安く実現でき、しかも資産価値が高い。とはいっても、どんな中古マンションでもいいわけではありません。リノベーションマンションを購入する際の注意点をご紹介します。
管理が行き届いているか
中古マンションが資産価値が下がりにくいとはいっても、修繕がされておらず設備も古くなるに任せているだけでは資産価値は流石に下がります。
まず目で見てわかるところで言うと共用部がしっかり管理されているか。ゴミ置き場、駐輪スペースなど、管理が行き届いていれば会社がしっかりしているだけでなく住民の民度も高いのがわかります。
さらに、修繕積立金の設定額が安い場合も要注意です。入居費用を安く見せる目的で不動産会社が削りがちな修繕積立金ですが、これが安いという事は当然修繕費用の貯まる額は少なくなります。結果、行うべき修繕が行われない、修繕計画が立てられない状況が生まれます。ですので、中古マンションをリノベーション前提で購入する際は、修繕積立金や修繕計画、これまで実際にどのような修繕が行われてきたかも確認するようにしましょう。
物件購入後にリノベーションするのは避けた方が良い
とりあえず気に入った物件を購入して、その後にリノベーションしようと考える人もいるかもしれません。しかし、そのやり方だとローンが住宅購入のローンと一緒になりません。別々にローンを払い続ける必要が出る上に、リノベーションローンは万額でないケースが多いです。
気に入った物件がありリノベーションして住みたい場合は、まず購入時に不動産会社にリノベーションした状態で購入できないか相談しましょう。
リノベーション済みマンションを購入する場合見た目だけで決めない
すでに不動産会社側でリノベーションを済ませている場合、非常に安く新築のように見える物件を購入できることになります。しかし、もともとある古い設備の上に内装だけ新しくしているケースも多いです。その場合住み始めてからトラブルが起こるケースもあります。
ですので、リノベーション済みマンションを購入する場合、配管や床下などの設備は古いままなのかどうかも確認しましょう。上を覆っているだけのリノベーションマンションは入居後に自費での手入れが必要になるケースもあります。一般的には「躯体などの重要な部分は10年」「給排水配管は2年」「内装仕上げは1年」のように不具合が出れば一定期間は不動産会社が保証してくれますが、それでもなるべくトラブルは避けたいものです。
まとめ
リノベーションマンションは新築より安く内装が新しいマンションを購入でき、さらに自分の好みの住まいを実現しやすいのが魅力です。マンション自体がしっかりしているかが大切ですが、条件に見合う築30年程度の中古マンションを見つけたら、
リノベーションマンションとしての購入を検討してみてもいいかもしれません。