借地権付き住宅のメリットとデメリット。旧借地権と普通借地権はどう違う
マイホームをネット等で探していて気になった物件が借地権付き住宅だった。普通の物件と何が違うのかよくわからなくて困る方も多いのではないでしょうか。今回は借地権とは何か、借地権付き住宅のメリット、デメリットをご紹介します。旧借地権と普通借地権の違いもしっかり理解しておきましょう。
2つの借地権 旧借地権と普通借地権
借地権には1921年に制定された旧借地権と1992年8月から施行されている普通借地権があります。つまり2つの借地権が同時に走っており、旧借地権は借主が承諾しない限りは旧借地権のままで更新を続けることが可能です。旧借地権の方が普通借地権よりも借主が強い契約なので、今でも旧借地権のままでの更新が続いている土地は全国にたくさんあります。
ここからはそれぞれのメリットデメリットを見ていきましょう。
旧借地権のメリット
まずは費用面でのメリットを紹介します。
・家と建物を両方購入するよりも、土地を借りて建物だけ建てる方が初期費用が安くつく
・土地部分に固定資産税等の税金がかからない
この2つに惹かれて購入する方は多いはずです。手頃な価格でマイホームを購入したい、ランニングコストを下げたいという方には魅力的なのは間違いありません。
借地権付き住宅とはいえ、契約が存続している限り家に住むことができるのは土地購入した場合と同じです。特に普段借りている土地であることを意識して暮らすことはないでしょう。
契約期間に関して、旧借地権は借主側に大きなメリットがあります。
【木造】
期間の定めがない場合:30年、更新1回目以降は20年
期間の定めがある場合:20年以上、更新1回目以降は20年以上
【鉄筋コンクリート】
期間の定めがない場合:60年、更新1回目以降は30年
期間の定めがある場合:30年以上、更新1回目以降は30年以上
非常に長い契約期間が設けられている上、特筆すべきは正当な理由がない限り貸主は更新を拒否できない点。また、土地を売却したいと貸主が行ってきた場合も、借主は拒否をすることができます。つまり、土地の上に建物が建っている限りは半永久的に契約更新し住み続けることが可能です。借地権付き住宅の相続も問題ありません。
旧借地権のデメリット
とはいえ、旧借地権においても結局自分の土地ではないところはデメリットになります。まずは借地権付き住宅の場合、増改築は基本的に禁止されています。増改築とは床面積が広くなる工事を行ったり、建物の構造が変わるレベルのリフォーム、また、新たに部屋や小屋等を作ること等を指します。仮に行う場合は貸主の承諾を得た上承諾料を払うという手続きを踏まなければなりません。
万が一、これらの手続きを踏まずに勝手に増改築した場合、契約解除される理由になります。旧借地権付き住宅は半永久的に更新できますが、あくまで借り物であるという認識を失うと気軽に増改築してしまい最悪退去させられるケースも珍しくありません。
軽微なリフォームの場合は貸主の承諾は不要とされていますが、どこからが軽微なリフォームでどこからが増改築なのか微妙なケースもあります。念のためリフォーム等を行う場合は貸主に報告を行い問題ないか確認する方が安心です。そしてこれらの報告や確認、承諾を得ることをいちいちしないといけないのはデメリットといえます。
また、半永久的に住めるとはいえ、契約期間自体はあるため更新時には更新料が発生します。これも自分で土地を持っていればかからない費用なのでデメリットと捉えられます。借地権付き住宅を売却する場合にも貸主の許可が必要ですし、手数料が発生します。
つまり住む以外のことを行おうとした時に自由にならない+手続き及び諸費用がかかるというのが旧借地権のデメリットになります。
さらに、旧借地権付き住宅を所有している場合、銀行からの融資がおりにくいこともあります。担保として信用が不十分とみなされるからです。
最後に旧借地権でも普通借地権でも購入しているのは、契約が終了した際には土地を更地にして貸主に返却しなければなりません。建物の取り壊し費用などは当然借主が負担します。これもデメリットといえるでしょう。
普通借地権のメリット
普通借地権のメリットも基本的には旧借地権と同じです。土地の購入費用がかからず土地の固定資産税がかかりません。費用を抑えられるというのがメリットになります。
ただし、旧借地権で触れた半永久的に住み続けられるかどうかについては、やや弱体化しています。これは旧借地権で貸主の権利が弱すぎたためで、普通借地権では契約期間が以下のように改正されました。
期間の定めがない場合:30年、更新1回目は20年、更新2回目以降は10年
期間の定めがある場合:30年以上、更新1回目は20年以上、更新2回目以降は10年以上
建物の種別による分類がなくなり、更新するごとに期間が短くなっています。とはいえ、貸主側に正当な理由がない限り、更新自体は旧借地権と同じく可能なのは変わりません。この場合契約を更新しない正当な理由というのは、借主側が勝手に増改築する等の契約内容を破る行為をしたというケースがほとんどであるため、借地権付き住宅を購入された場合はそこに気をつければ大丈夫ともいえます。
普通借地権のデメリット
こちらも基本的には旧借地権のデメリットと同じです。つまり住む以外のことを行おうとした時に自由にならない+手続き及び諸費用がかかるという点。普通借地権においては旧借地権より契約期間が短く定められているため、手続きや支払いの回数が増えるというのは新たに加わったデメリットといえるでしょう。