インターネット広告の利用はスマホの普及によって一気に拡大しました。魅力はやはり情報量の多さです。掲載スペースに制限のある紙媒体と異なり、インターネット広告はそれこそ無限に宣伝したい内容を載せることができます。
インターネット広告を構成するのは文章、写真、動画です。以前は画像と文章だけの物件広告がほとんどでしたが、最近は動画を掲載するケースも増えています。VRやARを活用して自宅や不動産会社のオフィスから、まるで現地で内見しているかのような体験をすることも可能になりました。
実際に物件を見なくてもある程度候補を絞りやすいところが買い手にとっての魅力です。逆に売り手にとってはかなりシビアに選別されると考えて間違いありません。中古の住宅の造りの悪さや汚れ、古びた感じはマイナスポイントとなり、内見まで結びつかない原因となります。リフォームや修繕、設備交換などをしっかり行うことが必要です。
逆にいい内容の物件であれば積極的にアピールすることで買い手を集めやすくなります。従来の紙媒体だと一文で終わってしまったような内容を、文章、画像、動画でたっぷり魅力として訴求することが可能です。
「インターネット広告は実際に物件を真剣に探している最中の人しか見ないのでは?」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。確かに一昔前までは直接物件のポータルサイトや不動産会社の物件情報サイトにアクセスした人がターゲットでした。
しかし、現在はインターネットユーザーの検索履歴や行動をAIが分析し、その人に有益そうな広告が自動で表示されるようになっています。例えば一度でも物件検索をすれば不動産関連のインターネット広告がその人のスマホやPCで表示される可能性が高くなります。マイホームや引越しなどのキーワードで検索をしたことがあるユーザーも不動産売買広告のターゲットです。
常に幅広いユーザーに訴求できかつ情報量が多いのが、インターネット広告の最大のメリットと言えます。
インターネット広告の種類
私たちが普段目にする不動産のインターネット広告には大きく分けて2つ種類があります。たくさんの不動産会社の物件情報が掲載されているポータルサイトと、自社で扱う物件のみを掲載した自社物件情報サイトです。それぞれの特徴について説明します。
ポータルサイト
ポータルサイトは全国のあらゆる物件の情報が見れるので便利です。エリアや間取り、金額から細かくソートできます。掲載するには不動産会社が掲載申し込みをする必要があります。SuumoやHomes、athome、Yahoo!不動産が代表的なサイトです。
スマホ版でもPC版でも検索結果一覧に表示された候補からユーザーが選んで閲覧をしてきます。ですので、掲載にあたっては一覧に表示されるサムネイル画像とキャッチコピーが大変重要です。ここで興味を引けなければ流入の可能性が大きく下がります。
ポータルサイトは掲載料がかかるため、不動産会社にとってはコストがかかります。目立つプランに掲載しようと思えばさらに高くなりますし、高いクオリティの写真や動画をあげようと思えばプロに外注するか自社で制作部門を抱えなければなりません。
ですので、必然的にリソースが多い会社がポータルサイトでは有利になりやすいです。昔ながらの地元の不動産会社と媒介契約を結んだ場合、ポータルサイト上では分が悪い可能性があります。
自社の物件情報サイト
自社の物件情報サイトを持っている会社もあります。ほとんどは売買に強い会社で自社で施工をしている会社です。いわゆるデザイバーズハウスなどコンセプトがあったり、エリアに強みがあるケースが多いです。
自社の物件情報サイトを保有するにはかなりの資金力が必要です。webサイトの制作は外注が多いはずですが、コンセプト設計や更新など自社のリソースもかなり消費します。クオリティの高い自社物件情報サイトを保有しているかどうかは、媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ上で重要なポイントです。
自社物件サイトを見る買い手は、その会社のブランド力に惹かれているか、その会社が手がける物件のコンセプトのファンであるか。いずれにしてもある程度好意的な気持ちでサイトを見ているので、成約に期待しやすいです。
紙媒体の特徴
10年ほど前までは不動産の広告といえばほとんど紙媒体でした。今でももちろん活用されていますが、スマホの普及以降見かける機会はかなり減りました。新聞に織り込まれているチラシの量は目に見えて薄くなっています。
さらに新聞自体の発行部数もかなり減っていることが紙媒体の凋落に拍車をかけています。2010年の新聞総発行部数は49,321,840だったのに対し、2019年は37,811,248。1億2000万部程度の減少です。2004年以降部数が上昇した年はなく、今後も減少の一途と思われます。新聞が購読されなければ折込チラシが届く可能性はないため、不動産会社のチラシの効果も期待できません。
しかし、紙媒体が全く効果がないかというとそうではありません。エリアを限定した紙媒体の活用はいまだに効果があります。地元の人をターゲットにして売却したい物件の場合、チラシの方がインターネット広告よりも決まりやすいケースもあります。これは土地勘があること、エリアの年齢層など様々な要因がありますが、使いようということです。
紙媒体の種類
紙媒体にも様々な種類があります。今はどのような媒体かよりも、いつどこで誰に配るかということが紙媒体の場合は重要です。
住宅情報誌
以前はコンビニなど至る所で見かけた住宅情報誌ですが、すっかり廃れてしまいました。紙媒体は発行までに時間がかかるため、情報の鮮度ではインターネットには歯が立ちません。
ですので、今可能性があるとすれば不動産会社が独自に発行している自社物件をまとめた住宅情報誌です。こちらを内覧会やモデルルームにきた方に渡す等の方法です。単に住宅情報だけが載っている冊子ではなく、ブランドコンセプトや社長インタビュー、社員の教育についてなど、ブランディング用のメディアとしての側面が今は強いかもしれません。
チラシ
新聞の折込チラシは部数が減っていますが、不動産会社が独自に行うポスティングチラシならたくさん撒くことが可能です。
1枚のチラシににたくさんの物件を詰め込むのか。件数を絞って出来るだけ細かい物件情報や大きい写真を載せるのか。エリアの状況をよく見極めてデザインする必要があります。とりあえずチラシを撒きましょうと言う姿勢の不動産会社では成果が上がりにくいでしょう。
まとめ
不動産売却にあたってはインターネットでの広告宣伝を中心に、スポットで紙媒体を使うやり方が合理的です。インターネットなら掲載期間中はずっと情報が残りますし、ユーザーは検索のたびに何度も見返して比較することが可能です。一方チラシは一度見たら終わりのケースが多いため、タイミングとインパクトが重要になります。
適切に広告の運用をできる不動産会社かどうかも売却の際にはよく見極める必要があります。