借地権の対抗力(しゃくちけんのたいこうりょく)
借地権者が目的物(土地所有権)の譲受人や借地権設定者から二重に借地権の設定を受けた者に対し、自己の借地権を主張できることをいう。民法上、地上権も(不動産)賃借権も登記が対抗要件とされているが、地上権と異なり、賃借権では賃貸人に登記に協力する義務はないと解され、実際に登記される例もあまりない。そこで、借地借家法は、借地権者を保護するため、借地権者が借地上の建物について登記をしたときは土地についての賃借権または地上権の登記がなくても、地上権を対抗できるものとした(同法10条)。建物についての登記は、所有権保存登記ばかりでなく、表示登記のなされている場合であってもよいが、父が子の名義の登記をしたような家族名義で登記されている場合には、対抗力がないとされる(最大判昭41.4.27民集20巻4号870頁)。