心裡留保(しんりりゅうほ)
表意者が表示行為に対応する真意のないことを知りながら行った意思表示をいう(民法93条)。冗談で甲が自分の家を乙に与えると約束するような場合がその例であるが、心理留保であっても、その意思表示は原則として有効である。ただし、相手方(乙)が意思者(甲)の真意(冗談)を知り、またはこれを知ることができるような事情にあるときは無効となる。そのような相手方を保護する必要はないからである。なお、判例は代理人(または会社の代表者)の真意を知っているような場合には、相手方と本人(または会社)との間では効力がないとしている(最判昭和42年4月20日民事判例集21巻3号697頁、同昭和38年9月5日民事判例集17巻8号909頁)。