持ち家と賃貸物件、それぞれのメリット・デメリットを解説

持ち家はコストが高いイメージがありますが、その分手に入るものが多いです。持ち家にはどのようなメリットがあるか紹介します。

持ち家は購入時に物件に備え付けられている内装や設備が、似た条件の賃貸に比べてグレードが高い傾向があります。初期費用や住宅ローンの支払いなど、人生の買い物の中でも高額な買い物になるため、そもそも魅力的である必要がありますし、数十年単位で暮らしても設備が問題なく稼働し続けられることが重要です。そのため、持ち家の場合は購入時点での最新設備を整えて販売していることが多いです。中古住宅であっても設備や内装は最新のものに入れ替えています。

持ち家であれば住んでいる最中に内装や設備を自由に変更できます。間取りに関しても一戸建てであれば建築基準法が許す限りの増改築が可能です。分譲マンションは間取り変更により制限がありますが可能ではあります。ライフステージの変化によって子供部屋が不要になったり、段差を除き手すりやスロープなどをつけるという施工をしたい場合もあるでしょう。そういった場合も持ち家であれば自由にできます。

持ち家は賃貸より広い間取りの家が多いため、ファミリーが生活しやすい物件を見つけやすいです。一戸建てはもちろん、分譲マンションでも3LDK、4LDKの間取りの物件であれば、育児も問題ないでしょう。

持ち家は自分の資産になるため、相続や売却など資産運用を考えることができます。例えば子供が独立した後は、広い物件を売却しコンパクトな中古分譲マンションを購入し、売却益を老後の生活資金に充てる。もしくは賃貸に出して投資用物件として運用するなど、新たにお金を生み出すための様々な出口戦略が描けます。

持ち家は住宅ローンを完済してしまえば、その後は月々固定でかかる住居費は発生しなくなり、家計のキャッシュフローが飛躍的に改善します。高齢になってから家計の支出が減るのは安心という方は多いはずです。

一方持ち家でデメリットになるのがコストや税金関係です。具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

持ち家は一度購入してしまうと気軽に引っ越しはできなくなります。住宅ローンを組んで購入されている方がほとんどのはずなので、住宅ローンが残った状態での売却だと難しいことが多いですし、購入して5年以内の売却だと売却によって得た売上にかかる税金は短期譲渡所得の税率となり、税金も多くかかります。

建築基準法では土地の大きさによって建てられる建築物の大きさが定められています。通常の長方形や正方形の土地であればシンプルにその土地面積に応じた建築物を建てるわけですが、旗竿地の場合は奥の長方形や正方形の土地面積+路地部分の土地面積で計算するため、通常の長方形や正方形の土地に建てるよりも大きい建物を建てられる可能性があります。しかも、上記で述べたように同じ土地面積でも価格が安いという組み合わせでのメリットがあります。
また、住宅ローンを組んでいる契約者が遠方への転勤が決まることもあるかもしれません。賃貸の場合なら、気軽に家族全員で引っ越しを決めやすいですが、住宅ローンが残っている物件の売却は前述したように不利なことがありますし、家族が住んでいれば住宅ローン控除を受け続けられることから、単身赴任を選択する家庭が比較的多いです。持ち家であるために孤独に遠方で働かざるを得ないということがあり得ます。

持ち家のメンテナンスは全て自費になります。自分で必要なものを購入してDIYするか、設備会社に工事を依頼する等の手間とコストがその度に発生します。

数十年単位の住宅ローン支払いが発生します。そのため、転職等の収入が大幅に変わる可能性のあるアクションはライフプラン上起こしづらくなります。

固定資産税や都市計画税など、持ち家ならではの税金が発生します。

賃貸物件はとにかく身軽に生きられるというのを魅力に感じる人も多いのではないでしょうか。具体的にメリットを紹介します。

賃貸物件にかかる初期費用は敷金、礼金、初月の家賃くらいなので、安い物件であれば20万円以下で住み始めることができます。

賃貸物件は引っ越すと決めたら即実行できます。引っ越しにあたっては契約更新前の引っ越しの場合は違約金、物件の状況によっては原状回復費用などがかかりますが、それら以外に支払う金額は基本的にありません。

何か賃貸物件に不具合が出た場合は、管理会社に連絡をすることで多くのケースで入居者側の負担なくメンテナンスをしてもらえます。月々管理費は支払っているものの、管理費を大幅に超えるような大規模なメンテナンスでも対応可能なことは多いです。

一方賃貸物件では長期的なライフプランを立てづらいというのがデメリットになります。具体的な内容を紹介します。

賃貸はどれほど長い間住み続けても物件が自分のものにはなりません。非常に長期住んで結果払ったコストが持ち家と同じだったのであれば、損をしていると捉えることができます。

賃貸物件は間取りや設備を自分の好みで変更することができません。たまに設備を自分の判断で交換する人がいますが、管理会社やオーナーに許可を取らずに行うと、退去時に高額な原状回復費用を請求されるなどトラブルになることも。基本的には賃貸物件は故障等がない限り元々ある設備で住み続けることが条件となります。

戸建ての賃貸物件は販売物件に比べて少ないため、希望に合う物件を見つけるのは難しめです。また、集合住宅だと1K〜2LDKくらいまでが主流。夫婦もしくは子一人くらいまではぎりぎりなんとかなるかもしれませんが、それ以上の人数だと流石に狭く、子一人でも子供が成長すればかなり手狭になります。ファミリーだと賃貸物件に住むことがそもそも難しいといえます。

賃貸物件は高齢になると保証人を求められる等、これまでのように簡単に契約更新がしづらくなります。また、高齢になり賃貸物件に入居することは非常にハードルが高いのが現状です。これは高齢者の孤独死が物件オーナーにとってリスクと捉えられていることが理由です。高齢になってから入居できるところがなく困惑するという事態は避けたいのではないでしょうか。