旗竿地のメリット・デメリット。売却成功のポイントとは。
旗竿地の売却は決まりにくいというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。買い手にとって旗竿地の物件はどんなメリット・デメリットがあるのか、旗竿地を売却するためのポイントについて解説します。旗竿地だからといって売却が難しいと決まっているわけではないので、買い手にアピールするための参考にしていただければと思います。
旗竿地は売りやすい?売りにくい?
旗竿地は通常の土地の形状と異なるため、買う人を選ぶのが実情です。旗竿地であっても土地の魅力をしっかり伝えられれば売れますし、逆に旗竿地でよく語られるデメリットばかりが目についてしまえば当然売りにくくなります。
旗竿地を売却するために最低限満たしておかないといけないのは、接道義務を満たしていること。現在の建築基準法において、建物を建てる土地は幅4m以上の道路に2m以上接していることが接道義務として定められています。
接道義務を満たしていない物件でも売却自体は可能ですが、再建築不可物件となり購入後にリフォームや建て替えに厳しい制限が課せられます。そのため、接道義務を満たしていない旗竿地の物件は敬遠されるため売却のハードルが高いです。
接道義務を満たした上で、旗竿地でもデメリットが少なく他の物件にはない魅力があることを伝えていくことが、旗竿地の売却には重要です。
買い手から見る旗竿地のメリット
旗竿地はその形状ゆえのメリットも存在します。単に価格を安くして売却を急ぐよりも、ここで説明するようなメリットに当てはまるか棚卸をして、適切なアピールの方法を考えることが大切です。
一般の土地に比べて価格が安い
旗竿地は近隣の一般的な形状の土地相場と比べて2割程度安くなることが多いため、予算を抑えたい買い手にとってはメリットがあります。接道部分の細い路地形状の土地と奥の住居を建築する部分の合計が実際の土地面積ですが、路地形状の部分は建物の建設には使えないので、この面積分が安くなっているとイメージすれば良いでしょう。
奥の土地面積以上の大きさの建物を建てられる
建築基準法では土地の大きさによって建てられる建築物の大きさが定められています。通常の長方形や正方形の土地であればシンプルにその土地面積に応じた建築物を建てるわけですが、旗竿地の場合は奥の長方形や正方形の土地面積+路地部分の土地面積で計算するため、通常の長方形や正方形の土地に建てるよりも大きい建物を建てられる可能性があります。しかも、上記で述べたように同じ土地面積でも価格が安いという組み合わせでのメリットがあります。
プライバシーが確保できる
旗竿地の奥にある土地は周囲の土地に建つ建物に囲まれていることが多いため、プライバシーを確保できるメリットがあります。家屋に至るまでの動線も通常の家より長いため、外から直接空き巣等に入られる心配が少ないなど、防犯上のメリットもあります。
奥の土地面積以上の大きさの建物を建てられる
接道している路地部分にある程度の幅があれば単なる通路でなく有効活用できる場合があります。駐車スペースにすれば、家屋が建つ土地に駐車場やガレージを作る必要がないので、結果土地を広く使えるメリットとなります。
買い手から見る旗竿地のデメリット
一方、やはりその形状ゆえのデメリットが旗竿地には存在します。買い手が特に気にするデメリットは以下です。
日当たり・風通しが悪い場合がある
旗竿地は他の物件に囲まれた奥にメインの家屋部分があるため、日当たりや風通しが悪い場合があります。特に周りに建物が密集している場合は、デメリットに感じる買い手はいるかもしれません。
工事が大変、コストがかかる可能性も
旗竿地は通常の物件よりも道路の奥に家屋があるため、水道、ガス、電気などのインフラ設備の引き込みが大変になります。引き込み距離が長くなるため工事は大掛かりになりますし、配管や配線も一般的な物件よりも長くなるため、コストや工期がかかるのはデメリットです。
さらに路地部分に重機が入るかも重要です。接道義務に定められている2mを最低限満たしていたとしても、ボリュームの大きい重機が動くには難しいケースもあります。重機が十分に入らなければ工事の難易度が上がったり、期間がさらに伸びたりします。
死角になりやすい
旗竿地は周囲を別の物件で囲まれており、ロケーションによっては死角になります。プライバシーが確保できる反面、何かトラブルがあったり不審者がいても周囲から気づかれにくいのはデメリットと捉える人もいるかもしれません。そのため、防犯カメラやセンサーを一般の物件よりもコストをかけて設置するケースがあります。
旗竿地売却を成功させるポイント
旗竿地の売却を成功させるには、やはりメリット部分をアピールする必要がありますし、実際買い手がそのメリットを実感しデメリットが気にならない環境をあらかじめ構築しておく必要があります。旗竿地売却を成功させるポイントを紹介します。
路地部分の活用方法をアピールする
旗竿地のデメリットとして捉えられがちの路地部分の活用方法をアピールすることで、メリットに転換できます。スペースがあるならば実際に駐車スペースとして活用している状況を見せる。接道義務ギリギリのスペースしかないのであれば、ガーデニング等の趣味活用を訴える、または綺麗に舗装して高級感あるアプローチを作るなどが考えられます。
日当たり風通しの良さをアピールする
実際に日当たり風通しが良いのであれば、旗竿地の場合は他の物件以上にアピールする必要があります。すでに物件が建っているのであれば、物件の日当たりや風通しの状況を説明し買い手の不安を払拭しましょう。
騒音が少なく、高いプライバシー性があることをアピールする
道路から奥まったところにある旗竿地の住宅は、まず騒音が一般の住宅より聞こえにくいメリットがあります。車の通行音や通行人の声が聞こえにくいため、深夜早朝に起こされてしまう可能性は低いでしょう。特に都心部の住まいであればメリットに感じる人は多いはずです。
また、周囲から見えづらいということでプライバシー性が高いことをメリットとして伝えていくのも重要です。デメリットで述べた死角になる点については、防犯機材を設置することで解消できるということをアピールしていきましょう。