リフォームとリノベーションの違いを事例から紹介

リフォームは古いところを直す、リノベーションは古い建物を生まれ変わらせる。ざっくりいうとこんな感じです。

一般的なリフォームというと壁紙や床の張り替え、外壁塗装、水回りや電気系統、キッチンなどの設備の修理や入れ替えなどが挙げられます。古くなったものを直すという意味合いが強いのでマイナスをゼロにするのがリフォームとも言えます。

一方、リノベーションは間取りの変更や大幅な内外装の刷新、配管や配線等の組み直しなど、まるっきり別の建物になるケースが多いです。最低限元々の土台や構造体は残してリノベーションを行いますが、壁も間取りもドアも窓も変わりますので外から見たら新築と変わらないこともあります。古い住宅の価値を大幅に向上させるのがリノベーションとも言えます。

リフォームは建物の一部分の修理であるため、工期が短くリノベーションに比べると費用が安くなる傾向にあります。現在入居中だったり等でできるだけ早く工事を終わらせたい、予算を抑えたい場合にはまずはリフォームを検討するのがいいでしょう。

リフォームはあくまで修理ですので現在の生活様式が大きく変わることはありません。今の生活をそのままに不便や老朽化を解消したい場合にはリフォームが向いています。

リノベーションは規模にもよりますがリフォームより工期が長くなり予算も大幅に上がります。構造体や土台以外は全て新しくなるケースも珍しくないですし、間取りやデザインなどに関しては新たな設計も必要です。

リノベーションは建物に求めるものがこれまでと完全に変わり、既存のいいところは生かしつつも全く新しい建物にしたい場合に向いています。古い木造住宅をリノベーションしてレトロなカフェにするというのはその代表例です。

リフォーム、リノベーション事例
住宅の一部部分だけをリフォームした場合の事例にはどんなものがあるのか。ここからは場所別に紹介していきます。

コロナ禍による内食需要の高まりで、自宅キッチンの利用頻度が上がった方も多いのではないでしょうか。特にこれまであまり使用しなかった男性の使用は増えているようです。

男女ともにキッチンを使うことで問題になるのがキッチンの高さ。既存のキッチンだと男性には低すぎて腰を痛めるという声も耳にします。また、子供も利用することが増え、高さに関しては調節できる物が求められています。

そこで最近人気なのはアイランドキッチン。従来のように壁に向いているのではなく、部屋の真ん中にあり、周囲の様子を見渡せるだけでなくキッチンを360°どこからでも使用可能です。あえて背の高い人に合わせた高さのキッチンを設置して、一部床を段差で高くする施工をリフォームで行うという手があります。

アイランドキッチンをダイニングテーブルとして利用することも可能。キッチンを中心にして家族団欒の場ともなります。

設置する場所によっては水回りや配管を全部組み直すような大規模な工事になりますので、リフォームというよりはキッチンリノベーションとも言えるかもしれません。

またキッチンのデザインにもこだわりたいもの。最近では黒やグレーといったシックなデザインが人気。家の雰囲気をガラリと変えたいという場合には検討してもいいのではないでしょうか。フローリングとの相性も抜群です。

既存のキッチンを従来と似たタイプの最新式のものに変える場合は50〜100万円、アイランドキッチンに変える場合は300～500万円が相場です。

建物内の間取りを大幅に変更したい場合はリノベーションになります。小さな部屋に仕切られていたのを取っ払い、開放的な広々とした家にしたいと思う方も多いのではないでしょうか。一昔前の家だと壁で仕切られていることが多く圧迫感があり暗い室内になりがちです。居間とキッチンを繋げることで動線も良くなりますし、子供がいる場合はキッチンから室内の状況を全部見渡せるようにも。

これまで3LDKだった部屋数をあえて2LDKに減らすことで、モダンな雰囲気になることもあります。子供が実家を離れたタイミングで部屋を一つ潰して、広々とした空間で夫婦の新しい生活を楽しむのもいいのではないでしょうか。

ただし、間取り変更においては耐力壁で仕切られているところの変更はできないなど、構造的に制限が入ることがあります。また、マンションの間取り変更はそもそも禁止されていることもありますし、間取り変更を行うことで売却の際に価格が下がるリスクもあります。事前によく確認しましょう。

間取り変更は水回りの工事が入らなければ100万円以内に収まることが多いです。キッチンやバストイレを含めた全体のレイアウト変更だと400万～1,000万円と考えておきましょう。また、工事中は家で過ごせないので、ホテルやウィークリーマンションでの宿泊費用も発生します。

屋根や外壁にひび割れや老朽化が発生すると見た目が悪いだけでなく雨水の侵入や断熱性能の低下など、住み心地に大きく影響します。塗装や張り替え、屋根の葺き替えなどのリフォームを行うことが必要です。

さらに単に補修するだけではなく、断熱性能や耐震性能の強化、さらに大幅な外観の変更をするならリノベーションになります。最低限の構造体だけを残して壁自体を全く別の最新の素材に変更し、さらに表面のデザインを自分好みにすることで安全快適かつ住んでいて楽しい家に生まれ変わらせることも可能です。見た目には新築の家と変わらないので売却の際にも高値となる期待もできます。

ただし、リノベーションだとあくまで土台や構造体は古いもののままなので、その部分が損傷している場合、外観が美しくなっても家の安全性には不安が残ります。リノベーションをするにしてもリフォームにとどめるにしても、現在の家の状態を正しく把握することが必要です。

外観のリフォームは50〜300万円程度、リノベーションだとフルリノベーションクラスの1,000万円程度かかることもあります。