買いたい

投資用マンションの購入における利回りの考え方。利回り高い物件は要注意なのか

投資用にマンションを購入する際に重要な指標になるのが利回りです。しかし、よく見かける高利回りの謳い文句をどの程度信用して良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。今回は一般的な利回りの数値と計算方法、利回りが高い物件の注意点など、利回りに踊らされずに物件を冷静にみる方法をご紹介します。

一般的な利回りはどれくらいか

一般的な利回りはどれくらいか
不動産会社の広告やチラシには「利回り10%以上!」と謳った収益用マンションやアパートを目にします。利回り10%というとかなりいい投資効率に思えますが、本当にそんなことがあり得るのでしょうか。

結論からいうと利回り10%のような物件はそうそうありません。特定の条件下で利回り10%になるようなことはあるかもしれませんが、普通の物件で常時利回り10%になるような物件があればそもそも市場に出回りませんので、あまり本気にしない方が良さそうです。

2021年11月の東急リバブルの調査によると賃貸住宅(ワンルーム)の期待利回りは、表面利回り4.4%、実質利回り4.2%となっています。

これは最寄り駅から徒歩10分以内、築年数5年未満、渋谷と恵比寿駅まで15分以内の鉄道沿線、東京と大手町駅まで15分以内の鉄道沿線と、比較的条件のいいワンルームを調査の対象としており、かなり現実的な数字と言えるでしょう。

実際にはこれより条件の悪い物件の方が多いはずです。利回りの目安としては3%くらいと考えておけば、大きく期待と外れることは少ないと思われます。

実質利回りと表面利回り

実質利回りと表面利回り
投資用マンションの利回りを語るときに、表面利回りと実質利回りという言葉が出てきます。簡単にいうと、表面利回りは家賃収入をそのまま収入として計算した場合の利回り、実質見回りは家賃収入から各種経費を引いて計算した場合の利回りです。

不動産会社が広告で人を集めるときに出す利回りは表面利回りであることが多いです。とはいえ、前項の例のように計算してみると表面利回りの差は1.0%にも満たないことが多いですが、悪質なケースだと実質利回りだとガクンと数字が悪くなることもあるので必ず実質利回りも確認するようにしましょう。

計算方法は簡単です。下記の条件のマンションを例にして各利回りを算出してみます。

物件購入費用:4000万円
1部屋の家賃:10万円/月
発生しうる経費:
管理費:6,000円/月
修繕積立金:2,000円/月
集金代行手数料:3,300円/月
固定資産税:9万円/年

実質利回りの計算方法はシンプルです。
実質利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

つまり
10万円×12ヶ月÷4000万円×100=3%

この物件の表面利回りは3%です。

次に表面利回りを計算しましょう。
表面利回り=(年間家賃収入-年間支出)÷物件価格×100

まずは年間支出を合計します。
管理費:6,000円/月
修繕積立金:2,000円/月
集金代行手数料:3,300円/月
固定資産税:9万円/年

上記から出る年間支出は
6,000円×12ヶ月+2,000円×12ヶ月+3,300円×12ヶ月+9万円=225,600円

これを表面利回りの公式に当てはめます。
(10万円×12ヶ月-225,600円)÷4000万円×100=2.43%

この物件の実質利回りは2.4%です。

表面利回りと実質利回りにどれくらい差が出るかは物件によります。

利回りは高いのと低いのどちらがいいのか

利回りは高いのと低いのどちらがいいのか
自身の投資効率のことを考えれば「利回りが高い物件の方がいいに決まっている」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし、利回りが高い不動産物件には落とし穴があります。これは上記の計算方法を冷静に見ればわかることです。

例えば人気のエリアであるA区に購入価格が全く同じ4000万円で、下記の2物件があるとします。

物件X:想定家賃12万円
物件Y:想定家賃10万円

両物件ともすぐ入居者が決まり空室になりにくいことが確実であれば、ほとんどの人はまず物件Xを選ぶはずです。

さて、ここにA区の外れにあり交通の便がJR最寄り駅まで徒歩25分かかる物件Zが登場します。場所以外の条件は同じです。

不動産会社は物件Zを手早く売るために購入費用と想定家賃を下げました。
物件Zの購入費用:3500万円
物件Zの想定家賃:9万円

それぞれの物件の表面利回りを計算してみましょう。
物件X
12万円×12ヶ月÷4000万円×100=3.6%

物件Y
10万円×12ヶ月÷4000万円×100=3%

物件Z
9万円×12ヶ月÷3500万円×100=3.08%

なんと物件Zの方が物件Yより利回りが高くなりました。しかし冷静に考えれば安定して運用できそうなのは条件が良くてしかも家賃が安い物件Yです。利回りが高いところにだけ着目していると、気づかないうちに物件Zのような物件を掴んでしまうことがあります。

物件Zの利回りが高くなるのは購入費用が安いことによるものです。そのエリアの平均と比べて購入費用が安い物件は利回りが高くなる傾向があります。

物件の購入費用が安い理由

物件の購入費用が安い理由
購入費用が安いのには何かしらの理由があります。ここから紹介する条件の物件はたとえ利回りが高くても購入には慎重になった方がいいでしょう。高い利回りの当てが外れただけならまだ良いですが、損害を被るリスクもあります。

築古の物件でメンテナンス費用がかかる

購入時は安くても途中で多額の修繕費や設備費用などが追加でかかり、利回りが低くなる可能性があります。修繕積立金だけでは賄えないレベルの大規模修繕が発生したり、そもそも修繕積立金のストックが尽きていることも。築古で相場と比べても妙に安い物件は建物や設備の状況をよく確認しましょう。

心理的瑕疵の事項がある

さまざまな事情での孤独死や殺人事件など心理的瑕疵が発生している物件は通常の価格では売れないため安くなっています。事件性がなく物件に特殊清掃が必要ないレベルの自然死の場合は告知を要する心理的瑕疵からは外れますが、物件の印象自体が悪くなっておりなかなか空室が埋まらないこともあります。また、事件性がある死亡や、空き巣、強盗、さらに周辺の治安が悪いことが明らかな場合は、入居が決まりにくいばかりか退去になるのも早い可能性も。結果常時空室があり利回りが悪くなります。

交通の便が悪い

23区内で交通の便が悪いエリアがあるというイメージは湧きづらいですが、どの鉄道路線からも遠い地区は存在するのが実情です。高級住宅地である世田谷区でも駅から遠い上に坂が多くバスも少ないため、車がないと非常に住みづらいエリアはあります。足立区や葛飾区にも車移動前提のエリアは多いです。こういった場所は一見物件の内容が良くても埋まりにくいため、かなり運営に工夫が必要な物件といえます。

物件の利回りの内容を正しく分析しよう

物件の利回りの内容を正しく分析しよう
利回りの数字に踊らされずに、利回りが高い理由、低い理由をしっかり把握することが大切です。理由がわかって購入すれば、高いにしても低いにしてもそれを踏まえた物件経営が可能です。結果、見込んだ投資効果を得られやすくなります。根拠のある数字を示してくれる信頼できる不動産会社に依頼をすることも大切です。

Copyright (C)1998-2019 株式会社健ハウジング / 世田谷区の不動産会社