収益物件をオーナーチェンジで手に入れるメリット
収益物件をオーナーチェンジで手に入れるメリットはとにかく手軽に運用を始められることです。具体的にどのようなトピックで手軽さがあるのでしょうか。
すでに入居者がいる
すでに入居者がいる状態で物件を手に入れられるので、オーナーチェンジしてすぐに家賃収入を得ることが可能です。空き家でゼロから入居者を募集する場合は、入居者を募集するために広告予算をたくさんかける必要があります。オーナーチェンジなら物件からの収入がないのに長期間にわたって費用だけ発生する可能性が低いです。
リフォームの必要がない
中古の空き家を収益物件として入手し入居者を募集する場合、基本的には家主がリフォームをしなければなりません。目に見える部分だけでなくガスや水道、電気などの設備面も家主側で整える必要があるため、空き家入手後に人が住めるようにするのに莫大な費用がかかる可能性があります。
しかし、オーナーチェンジ物件ならすでに人が住んでいるため、新オーナーになったからといって改めてリフォームをする必要はありません。ただし、マンションやアパートなどのオーナーチェンジの場合は、空室のリフォームはもちろん新オーナーが行う必要があります。
利回りが見えているのでリスクが少ない
オーナーチェンジ物件は現在のキャッシュフローがはっきりわかるため、空き家よりリスクが少ないです。
戸建てであれば今の住民が住み続ける限りは、同じ利回りで経営が続けられるわけですし、マンションやアパートの場合も退去や入居が出た場合の利回りの計算は、空き家に比べるとしやすいです。
特殊な状況でない限りオーナーが変わったその月に退去するという話には通常なりませんので、収益物件としてはリスクが少ないでしょう。
銀行から融資を受けやすい
利回りの計算がしやすく収益物件としてのリスクが少ないことは、結果として銀行からの融資の受けやすさにつながります。オーナーチェンジ物件は収益物件としての実績があると言えるので、銀行としても融資のリスクが低いのです。
ただし、空室が多いマンションやアパートのオーナーチェンジの場合は、融資が受けやすくなるとは限りません。あくまで物件の収益性が高いことを評価してもらった上で、融資の際に有利になると考えましょう。
物件価格が空き家購入より安い傾向がある
物件価格は空き家を購入するより10%程度安くなる傾向があります。これには2つ理由があります。
一つ目の理由は査定方法にあります。居住用に空き家を購入する場合、評価されるのは住居としての価値です。建物、立地、周辺環境などを総合的に判断し価格が決まります。しかし、収益物件としてオーナーチェンジする場合、物件の価格は収益性によって決まります。この計算方法だと一般の空き家より価格が安くなる傾向があります。
二つ目の理由は物件の運用方法が制限された状態であることです。つまり、居住者がいるためオーナーが勝手に物件を取り壊したり、勝手に改装をすることができません。これがオーナーチェンジ物件の価格を下げる要因になっています。
ゼロからマンション経営を始めなくて良い
オーナーチェンジ物件は前オーナーの経営資源をある程度引き継げるため、マンション経営初心者には最適な収益物件です。オーナーチェンジ初期においては、これまで行われてきたやり方をそのまま真似しながら、徐々にマンション経営について学ぶことができます。
収益物件をオーナーチェンジで手に入れるデメリット
しかし、収益物件にはデメリットもあります。しっかり物件の実情を把握していないと「こんなはずじゃなかった」となるリスクもあるので、購入前に気をつけないといけないこと、要注意物件を見抜くポイントを抑えておきましょう。
物件の内覧ができない
オーナーチェンジ物件の場合、入居者がいるため内覧ができません。入居者がいるからリフォームをしなくていいメリットもあるのですが、購入前に物件を見ることができないのはデメリットです。購入にあたっては最終的には前オーナーが言うことを信用するしかありません。
もちろん、購入前に物件についての書類や修繕履歴など、物件の状態を判断するための材料は全て見せてもらうようにしましょう。もしそこに難色を示すようなら、見せたくない理由があるはずなので物件購入を見送った方がいいかもしれません。
購入後に物件の瑕疵が判明する危険性がある
内覧ができないことで購入後に物件の瑕疵が判明する危険性があります。この場合は、当然現オーナーに修理や修繕の義務が生じ、生じた費用を払わなければなりません。
これを防ぐために、売主との間に瑕疵担保責任を長めの期間で定めておく必要があります。瑕疵担保責任は物件購入後に瑕疵が判明した場合に、修繕費を売主が払ったり売買契約を取り消すことができる契約です。瑕疵担保責任が生じる期間はできるだけ長めに定めておいた方がいいでしょう。
前オーナーと入居者の口約束などが後から判明する
前オーナーと入居者が近しい人だった場合によく発生するトラブルとして、口約束が後から判明するケースがあります。また何十年も住んでいるような入居者の場合、契約書を紛失していることも多いです。
オーナーチェンジ後に口約束の存在を知り「条件的に受け入れたくないし、契約書がないから無効」と思う可能性は高いでしょう。しかし、口約束であっても賃貸借契約上の内容であれば契約は有効です。
口約束や契約書がない内容のせいで、本来考えていた物件の運用ができないとなりかねません。入居者の賃貸借契約書はもちろん、何か書類にない事項がないか、前オーナーに購入前に確認を忘れないようにしましょう。
また、購入後に住人の家賃滞納など、キャッシュフローが正常でないことが判明するケースもあります。前オーナーは家賃の支払い状況など全てを伝える義務はありません。こちらから突っ込んで聞かないと、なかなか答えてくれない可能性があります。
駐車場、駐輪場、バイク置き場
マンションでは機械式駐車場が多いですが、出庫に時間がかかったり大雨や洪水での浸水の際のリスクがあります。平地の駐車場は盗難やいたずらのリスクがあります。自分が納得できる仕様かをよく考える必要があります。
またバイク置き場や駐輪場がきちんと整理、清掃されているかも観察しましょう。汚れていたり放置されているような自転車があれば、防犯上のマイナス要因となります。
入居者が実はサクラだった
これは悪質なケースですが「入居者で埋まっている良い利回りの素晴らしい収益物件」とアピールしたいがために、物件をサクラで埋めるケースがあります。外見で言うとマンション全部屋にカーテンをつけ住人で埋まっているかのように見せる。一時的に自分の親族を住まわせるなどです。
こういったオーナーチェンジ物件にひっかかると、売買契約後に入居者が立て続けに退去する現象が発生します。オーナーチェンジは入居者には本来影響がないはずなので、これは意図的と疑っていい現象です。
空き家とオーナーチェンジ物件、どちらがおすすめか
このようにオーナーチェンジ物件にはメリット、デメリットがあります。オーナーチェンジ物件はデメリットとなりうることを購入前に解消できるのであれば、収益物件経営の初めの一歩としては最適です。空き家を収益物件にゼロからするよりもハードルが低いのは間違いありません。
オーナーチェンジ物件のデメリットをまとめると「本当のところは買った後でないとわからない」ということ。前オーナーや間に入っている仲介会社が信用できるか、不明確な部分があまりに多くないか、相場よりあまりに安すぎないかなど、気になった部分を明確にしていく姿勢が大切です。
収益物件を手放すのには必ず何かマイナスの理由があるため、ぱっと見の条件のよさに安易に飛びつかないようにしましょう。