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マンション投資で節税できる仕組みと成功する条件3つ

マンション経営が節税にいいと聞いて検討している方は多いですが、実は節税対策としてはハードルが高めです。正しく理解して運用すれば節税対策になるのは確かなのですが、失敗しないためにどのような仕組みなのか、成功するための条件をしっかり把握しておきましょう。

マンション投資で節税はそもそも可能なのか

管理会社の業務内容
答えから言うと、マンション投資で節税は可能です。ただし、節税を主たる目的にしても問題ないケースと、節税ではなく収益を上げることを目的にした方がいいケースがあります。その判断基準の一つが年収です。

マンション投資で節税するための考え方としては、マンション投資で発生した赤字を所得から差し引くことで、自分が手元に受け取っている所得より低い所得税率で課税されようというもの。これを理解するためには所得税の累進課税の仕組みを理解する必要があります。

累進課税率とは、所得が上がるごとに所得税の割合が上がる仕組みです。

1,000円から1,949,000円まで:5%
1,950,000円から3,299,000円まで:10%
3,300,000円から6,949,000円まで:20%
6,950,000円から8,999,000円まで:23%
9,000,000円から17,999,000円まで:33%
18,000,000円から39,999,000円まで:40%
40,000,000円以上:45%

上記が国税庁が定めている累進課税率です。例えば年収1200万円の人は上記表だと所得税率33%のゾーンにいますが、マンション経営で年間400万円の赤字を出せれば一つ下の所得税率23%のゾーンになります。つまり、10%低い課税率が可能になるわけです。

だから、マンション投資で節税をするということは、いかに赤字を出すかということとほぼ同義です。そして、後半に説明しますがこの方法で節税の旨味を得るには年収が1200万円程度に達している必要があります。

マンション節税の計算方法を解説

管理会社を選ぶポイント
さて、それではどのようにマンション経営で赤字を出せばいいのでしょうか。これは経費を湯水のように使えとか、利益を出すなと言う意味ではありません。会計上の赤字である減価償却費を活用します。

減価償却とは

減価償却とは経年することで目減りする価値を経費として計上するもの。例えば購入時5000万円、減価償却期間10年のマンションを購入したとします。減価償却期間とは物件の価値がゼロになるまでの期間です。

この物件だと
5000万円÷10年=500万円
が毎年の減価償却費となります。

ただし、この減価償却費はあくまで会計上のもので、特にどこかに500万円を払っているわけではありません。手元に残っている資産は変わらないが会計上はマイナス分として計上できる。これを使ってマンション経営の赤字を出すというわけです。

中古マンションの節税効果をシミュレーション

年収1200万円の人が減価償却期間10年の中古マンションを8000万円で購入した場合、どの程度の節税効果があるのでしょうか。

下記条件を想定します。

年間家賃収入:600万円
諸経費:150万円
借入返済(元本):80万円
借入返済(利息):40万円

この時点で年間家賃収入-諸経費-借入返済を計算すると、実際の手元に残る金額は330万円です。

そしてこのマンションの減価償却費は5000万円÷10年=800万円

つまり会計上は
330万円-800万円=△470万円
上記のように赤字が生まれました。

通常年収1200万円の人が払う所得税は累進課税率33%、そこから基礎控除を引いて
1200万円×0.33-1,536,000=2,424,000円
と言う計算です。
※実際はもっと細かい計算ですが、わかりやすくするため簡略化しています。

そして、マンション投資による赤字を計上した場合は
1200万円-470万円=830万円
が年収となるため累進課税率は下がります。累進課税率23%、そこから基礎控除を引いて
830万円×23%-636,000=1,273,000円
これが所得税額になります。

つまり
2,424,000-1,273,000=1,151,000円
マンション節税で1,151,000円の節税に成功しました。

実際には住民税もありますし、ここまで単純な計算ではありませんがマンション節税のイメージはできたのではないでしょうか。

マンション投資で節税できる条件3つ

2021年2月に施行された賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律とは
上記の計算をさまざまな条件を設定して自分で試算すればわかりますが、マンション節税が成立する数字の条件を揃えるのはなかなか大変です。とりあえずこれだけは必ず揃っていないと難しいという条件を3つ挙げます。

年収1200万円以上

なぜ年収1200万円以上が必要かというと、累進課税の仕組みが関係しています。
先ほどの金融庁の課税率をもう一度見てみましょう。

1,000円から1,949,000円まで:5%
1,950,000円から3,299,000円まで:10%
3,300,000円から6,949,000円まで:20%
6,950,000円から8,999,000円まで:23%
9,000,000円から17,999,000円まで:33%
18,000,000円から39,999,000円まで:40%
40,000,000円以上:45%

年収900万円以上1800万円未満だと累進課税率33%で、年収695万円以上900万円未満だと累進課税率23%です。つまり、年収1200万円の人が赤字を300万円以上出せれば1ゾーン下、素の状態より10%低い累進課税率となるわけです。

次に、年収800万円の人の素の累進課税率は23%ですが、その下のゾーンである年収330万円以上695万円未満の累進課税率は20%。つまりマンション経営で赤字を300万円出しても、わずか3%分しか節税できていないと考えられます。

また、仮に年収1700万円の人が500万円の赤字を出しても累進課税率のゾーンは変わりませんが、そもそもの累進課税率パーセンテージが大きいので節税効果は出ます。しかし、これが年収が低い累進課税率になればなるほど節税の旨味の割合が縮小していきます。

このため累進課税率のランクとして9,000,000円から17,999,000円までのゾーンにいる必要があり、目安として1200万円程度が基準になるといっていいでしょう。厳密に言うと900万円以上ならいいわけですが、10年程度のスパンで年収自体がぶれる可能性を考慮すれば、節税目的に絞ってマンション経営を検討するのは年収1200万円程度からが目安です。

減価償却費を大きく取れる物件か

また、減価償却費が赤字を計上できるほど大きく出せるかも重要です。だから、購入費用が安く減価償却期間が長い物件は節税には向きません。狙うべきは高額かつ減価償却期間が短い物件です。

所有期間に減価償却が終わっていないこと

さらに、所有期間内は毎年必ず減価償却費用が計上できることが重要です。減価償却期間が終わってしまうと経費として計上できなくなり、一気にキャッシュフローが悪化します。これをデッドクロスといいます。減価償却が残っている期間内に売却することが重要です。

節税目的でのマンション投資は慎重に!

節税目的でのマンション投資は慎重に!
マンション投資を節税のみに役立てようとした場合、投資する側の収入や購入する物件がかなり限定されます。もちろん、節税対策として有効なのは間違い無いのですが、マンション投資は節税以外にも事業としてのメリットもあるので、総合的に捉えて検討することが大切です。

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