賃貸管理の選び方。選ぶべきでないダメな管理会社5つのポイント
賃貸管理会社は紹介されたところにそのまま決めている方が多いかもしれませんが、自分で選ぶ場合はどのような基準で探したらよいのでしょうか。今回は管理会社が行う業務の基本と、選ばない方がいい管理会社の特徴をご紹介します。
賃貸管理会社の業務は大きく二種類
賃貸管理会社のほとんどで以下の2つの業務を兼務しています。稀に建物管理業務はオーナー自身で行い入居者管理業務だけ管理会社に任せるケースもありますが、特段オーナーに建物への思い入れや特別なこだわり等がない場合は、両方任せてしまうのが負担が減るのでおすすめです。
入居者管理業務
入居者管理業務では入居者の募集から入居中、退去に至るまでの対応を行います。
具体的には
- 入居者募集
- 入居契約
- 入居中のトラブル対応
- 家賃の徴収や滞納者への督促
- 退去手続き
この中でオーナーが最も気になるのはしっかり入居者募集をしてくれるかどうか。そのため広告に予算を割いており、集客力がある管理会社を選ぶことは一つのポイントになります。
入居中の騒音や異臭などのトラブルや設備の不具合に対しても、管理会社の担当になります。さらに滞納への督促、退去時の原状回復や精算業務も管理会社が行います。
こう見ると、ほとんどの入居者対応業務や事務的な業務に関しては管理会社に任せられるといえます。ただし、賃貸契約はオーナーと入居者間で交わされるものなので、入居契約や滞納者への退去勧告などはオーナーの意思決定が必要不可欠です。
建物管理業務
建物管理業務は建物の美観や設備を適切に保つ業務です。
具体的には
- 共用部の日常清掃や定期清掃
- 共用設備の日常点検や法定点検
- 居室内の設備不具合への対応
- 退去後のクリーニングやリフォーム
清掃や修理は管理会社が管理業務を行う中で発見するものと、入居者からの連絡があって判明するものがあります。どちらにしても速やかに対応することが管理会社には求められます。
また、退去時にクリーニングや必要に応じてリフォーム、設備の新調をすることで、次の入居者が決まりやすくなります。
賃貸管理会社に支払う費用
賃貸管理会社に支払う費用で毎月発生するのは管理委託費です。その他はその都度発生する費用となります。
月々の管理料
家賃の3〜5%程度が月々の管理委託費の目安です。家賃6万円のアパートなら1,800〜3,000円程度という計算になります。これを大きく超える場合、よほど特殊な強みや他社にない業務内容などがないと任せにくくなります。管理委託費の支出で物件の経営が不安定になるのは避けたいところです。
仲介手数料
管理会社の募集により入居者が決まった場合、仲介手数料を支払う必要があります。目安としては家賃の0.5〜1ヶ月分です。
退去時の原状回復費用
退去時に原状回復工事が発生する場合、敷金から費用を調整する等で精算しますが、場合によってはオーナーに工事費用が請求されることがあります。
大規模修繕などの費用
建物の外壁やエレベーター、共用部のセキュリティ対策、最近だと宅配ボックスの設置など、さまざまな設備の修理や新設をする場合、費用はオーナーに別途請求となります。
こんな賃貸管理業者は選んではダメ。5つのポイント。
賃貸管理会社を選ぶにあたって最も重要なのはやはり客付け力があるかどうかです。集客が得意で空室をすぐ埋めてくれる賃貸管理会社でなければ、そもそも物件経営のスタート地点に立てません。だからまずは根拠のある集客ができる会社であることが大前提で、さらに入居後に極力退去が出ないような管理をしてくれるかをチェックする必要があります。選ばない方がいい管理会社の5つの特徴をご紹介します。
①集客の具体的な方法が示されない
物件の入居者募集は現在ではほとんどインターネット広告に頼っています。よく一般的に知られているのはSUUMOやathomeのようなポータルサイトに物件を掲載することですが、それ以外にも業者向けの物件検索サイトが存在します。REINSをはじめとして他にも民間の会社が運営しているサイトもあり、大手の管理会社はこういったサイトにかなり幅広く掲載をしています。
しかし、会社によっては広告予算の関係で出稿しているサイトが少ないこともあります。また、業者向けのREINSに掲載してしまうと他管理会社が入居者を決めた時に借主から仲介手数料が取れなくなってしまうので、あえて掲載しない賃貸管理業者も。
このような予算の限られた賃貸管理会社は「広告をしっかり打ちます」といっても、具体的にどの媒体に掲載するかは明言しないことがあります。インターネット媒体以外にも集客方法はさまざまありますが、集客の具体的な方法を教えてくれないことに加え、Webに弱そうな管理会社は集客力という面で不安があるので避けた方がいいかもしれません。
②数字をもとに話をしてくれない
どれくらいの入居率を平均して目指せばいいのか、入居率がどれくらいを切るとこの物件だと赤字になるリスクがあるのか等をもとに、賃貸管理会社が入居者管理業務にあたってくれることをオーナーとしては期待しているはずです。しかし、特に数字の目標や目安もなく漫然と業務に当たられては不安になります。最初の時点で数字をもとにどういう動きをするのか説明してくれない会社は避けましょう。
③家賃値下げ以外の提案がない
空室が出てしまいなかなか埋まらない場合に、どのような提案をするかは管理会社の腕の見せ所です。例えば設備や内装に関する提案、広告の出し方等、これまでと変えた施策が必要なことがありますが、特に武器のない管理会社の場合、安直に家賃を下げることを最初に提案してきます。もちろん、家賃値下げが手取り場合集客方法ではあるのですが、それしかない管理会社は避けたいところ。検討段階で見抜くのは難しいですが、会社のホームページを見たり担当者と話してみて、「この会社はオーナーに対しての営業力以外特筆するものがなさそう」と感じたら避けた方がいいでしょう
④物件に何かあったときに初期対応までの見込み期間が長すぎる
管理会社ですから新規入居者の募集だけでなく、入居後の満足度を維持することも重要です。何かトラブルがあり入居者から連絡が来た時に迅速に対応することはその第一歩といえます。ただ、管理会社によっては初期対応まで時間がかかるケースも。さまざまな要因がありますが、
- 物件のエリアから離れたところに本社や営業所があるケース
- 問い合わせ窓口がつながりにくく人員も少ないため、手が回っていないケース
- 単純に動きが悪いケース
上記が考えられます。大手の賃貸管理会社だと郊外の物件を管理していても事務所が都心で実際にはほとんど対応できないというケースもあるので、契約時に実際に足を運んでくれるエリアの会社なのか確認しましょう。
また、大手だと入居者むけに年中無休の緊急対応窓口が用意されていることが多いですが、中小だとあるとは限りませんし、立て込んでくると対応が遅くなることもあります。土日祝の動きや問い合わせから対応までのフローなども確認しておきましょう。
⑤定期報告の約束がない
賃貸管理会社が実際にどのような業務を遂行しているのかをオーナーとしてはチェックする必要があります。毎月管理手数料を払っているのに共用部がゴミだらけで設備が故障しているのでは意味がありません。2021年に賃貸管理業法が改正され、管理会社はオーナーに定期報告の義務が生まれました。期間は明確には定められていませんが、数ヶ月ごと、半年ごとなど賃貸管理会社が自主的に実行する必要があります。最初の段階で定期報告はいつしてくれるか、どういう項目でチェックしているのかを確認し、明確な回答がない管理会社も避けましょう。