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不動産を賃貸物件として運用する場合の返済方法や返済比率はどう設定するか

収益を上げる目的で購入した事業用の賃貸不動産が生計を圧迫することがないように、ローンの返済計画は慎重に立てなければなりません。今回は賃貸不動産の返済方法や返済比率から、不測の事態で居住用の不動産を賃貸物件にせざるを得なくなった場合にどうすればいいかまでご紹介します。

事業用の賃貸物件の返済方法は?

事業用の賃貸物件の返済方法は?
事業用の賃貸物件の借入には不動産担保ローンやアパートローンを組んでいるはずです。自分の現在の経済状況や事業計画に応じて、適切な返済方式や返済比率を設定する必要があります。元利均等返済と元金均等返済の2種類の返済方式と、返済比率について解説をします。

元利均等返済

元利均等返済の元利は「元金+利息」を略したもの。つまり元利均等返済とは「元金+利息」の額を毎月均等に返済していく方式を意味します。

メリットとしては返済開始から終了まで一定の金額を返済すればいいので、事業計画が立てやすいこと。また、元金が多く残っている返済初期でも負担が増えることがないのも助かる点です。

デメリットとしては、トータルで見ると多くの利息を払わなければいけない点。

とはいえ、支払額が増えたとしても計算がしやすい元利均等返済の方が、事業計画を立てやすくキャッシュフローが安定すると考えることができます。

一例として下記を元利均等返済で返済した場合、
融資金額:1億円
返済期間:20年
全期間固定金利2.0%

毎月の返済額は固定で505,883円です。総返済額は121,411,873円のうち総支払利息は21,411,873円となります。

元金均等返済

元金均等返済とは毎月同じ金額の元金を返済していく方式です。返済当初は元金がたくさん残っているため、利息も多くなります。つまり返済当初は支払い金額が高くなり、返済が進み元金が減るにつれ利息の額も減り支払い金額が少なくなるのが特徴です。

メリットとしては返済が進むにつれ支払額が減ることと、同じ返済期間の元利均等返済と比べた場合に利息の総額も少なくなることです。

デメリットは返済当初は返済金額が高くなる点。手元に多くの資金があり他の事業等を含めたキャッシュフローが安定している場合なら、元金均等返済を選んでもいいかもしれません。事業用不動産運用の中級者以上なら選んでも良いでしょう。

一例として下記を元金均等返済で返済した場合、
融資金額:1億円
返済期間:20年
全期間固定金利2.0%

借入当初の毎月返済額は583,332円で、返済が進むにつれ少なくなっていきます。総返済額は120,083,247円のうち総支払利息は20,083,247円となります。

前述した元利均等返済と比較した場合、利息の支払額が130万円程度少なくなります。とはいえ、当初の毎月の返済額は負担が大きいため、元利均等返済の検討には慎重を要します。

返済比率の目安

事業用不動産は返済方法だけでなく返済比率もよく考える必要があります。返済比率とはマンションやアパートの集合住宅の満室状態の何割を支払いに回すかということです。

例えば満室時200万円の賃貸収入が毎月あるマンションで、100万円を返済に充てるなら返済比率50%となります。

一般的には返済比率を40〜50%に設定することが多いです。それ以上に設定すると返済期間は短くなりますが、経営上のリスクが増えます。

例えば50%の場合は下記のようなシミュレーションができます。
満室時家賃:200万円
経費(満室時家賃の20%):40万円
空室想定(満室時家賃の15%):30万円
ローン返済額(返済比率50%):100万円
残額:200万円-40万円-30万円-100万円=30万円

手元に30万円が残る計算になります。

一方、60%の場合はどうでしょうか。
満室時家賃:200万円
経費(満室時家賃の20%):40万円
空室想定(満室時家賃の15%):30万円
ローン返済額(返済比率60%):120万円
残額:200万円-40万円-30万円-120万円=10万円

手元に10万円しか残りません。これでは想定する空室を上回ってしまえばあっという間に赤字になってしまいます。また不測の改修工事や設備投資が発生したり、他事業のキャッシュフローが崩れれば、収益を上げるために手に入れた事業用物件が大きな負担となります。

返済利率は手元にどの程度の収益が残れば安心かをよく見極めながら決めることが大切です。

居住用として借りたが、賃貸物件として運用したい場合

居住用として借りたが、賃貸物件として運用したい場合
中には「もともと自分が住むつもりで購入した一戸建てだが、転勤や長期の海外異動等の理由で離れなければならない」というケースもあるでしょう。その場合に家を手放さずに不在の間賃貸物件として運用するという手があります。

その場合に障害になるのが住宅用ローンの存在です。住宅用ローンを使いながら賃貸物件として貸し出せるケースもありますが、その場合は家族による自宅の住居利用が続いていなければなりません。例えば親世代が1階部分を使用し2階を賃貸に出す場合が想定されます。しかも、床面積が50平方メートル以上で、かつ自宅利用分が全体の50%以上である必要があります。

建築時に賃貸物件として運用することを想定して建築していない限り、上記を満たすのはなかなか難しいかもしれません。住宅用ローンは継続できなそうだが賃貸用物件として運用したい場合はどうすればいいのでしょうか。

住宅ローンから不動産担保ローンへ借り換える

銀行に事情を説明し住宅ローンから不動産担保ローンへ借りかえるのが王道です。不動産担保ローンは利率が高く、しかも住宅ではないので税制上の優遇措置である住宅ローン控除が使えなくなります。費用負担は増大するので、本当に賃貸物件として運用するのか、前述した返済方法や返済比率について慎重に事業計画を立てましょう。

住宅ローン窓口に相談して賃貸物件としての運用を認めてもらう

また、通る可能性はあまり高くありませんが、賃貸用物件として運用するがこれまで通住宅用ローンの利用を継続させて欲しいと交渉するのも手です。転勤などの本人にはどうすることもできない事情があれば賃貸物件としての運用が認められる場合もあります。これは銀行次第です。

また住宅ローンを組んだのが民間の銀行でなく、住宅金融支援機構の場合は基本的には民間の不動産担保ローンへ切り替える必要があります。住宅金融支援機構でも特別な事情があれば賃貸用物件としての運用が認められる場合がありますが、その場合は「住宅の管理者を選定し、居住不可の期間を3年以内」としなければなりません。

まずは不動産会社に相談を

一棟現場・開発現場が得意なハウスメーカーなら土地が売れやすい
賃貸物件の運用を成功させるためにはローンの返済計画だけでなく、物件の立地や家賃設定、管理に関して綿密な計画が必要です。まずは信頼できる不動産会社に相談し、購入予定の物件やすでに所有している物件の運用についてお話しされてはいかがでしょうか。

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