不動産売却で買取再販を活用すべき物件とは。メリットとデメリット

買取再販とは物件を不動産会社が買い取った上で、他人に販売することです。不動産仲介の場合は、あくまで買い手と売り手をつなぐだけで、不動産会社はお金を出して物件を購入することはありません。

つまり、不動産会社にとっての収益構造が異なります。買取再販の場合は、不動産会社が買取った価格+リノベーション等の費用を再販の売却金額から引いた金額が収益になります。一方不動産仲介の場合は買主、売主双方からもらう仲介手数料がそのまま収益になります。

ここまでご覧になり、不動産会社にとっては買取再販の場合は手がかかりそう、仲介の方が簡単そうと感じられた方は多いのではないでしょうか。まさにその通りで、この点は売主が買取再販するメリット・デメリットに大きく結びついてきます。

それではどのような物件が買取再販に向いているのでしょうか。ざっくりいうと、通常の不動産仲介ではなかなか売れない物件、専門性が低い業者では扱うのが難しい物件です。買取再販を行う不動産会社は何かしら特化した得意分野があることが多いです。次に紹介するような難しい物件でもなんかできるノウハウを持っている業者が買取再販を行っています。

老朽化がひどく廃屋の一歩手前だったり、なんとか人が住めるとしてもあまりにも古めかしいデザインや設備の物件は買取再販が向いています。親から家を相続したものの自分は別の土地に住んでおり管理もあまりしないままで、いざ売却をする段になって老朽化がひどくなかなか売れない、または仲介不動産会社に断られるというケースも珍しくありません。

そのような物件の場合、買取再販をした不動産会社がリノベーションを行うことで売れる物件として生まれ変わります。下手に売主が費用をかけてリフォームをしても売れないリスクがありますので、買取再販が得意な不動産会社に買い取ってもらった方がいい場合は多いです。

山中などの僻地、公共交通機関から数時間離れたような場所、過疎地などの不便な場所の物件は、物件の状態に関わらず仲介だと売れにくいです。こういう物件は不動産会社に買取再販してもらうことで、幅広い用途を見出してもらえる可能性が広がります。

必ずしも物件の状態や立地が悪くなくても、長期間あえて放置されているような物件は存在します。相続や権利などの問題が複雑化しており、誰も手をつけたくないようなケースです。複数の権利者、複数の契約、複数の法的問題などでがんじがらめになっており、物件の所有者はもちろん不動産会社でも敬遠するような状態になっている物件は日本全国にあります。

ただし、こうした問題が生じている物件に対するノウハウを持っている不動産会社も存在しますので、そういった会社に相談し買取再販をしてもらうのは有効です。

投資用不動産を購入してみたものの、赤字になるばかりで一刻も早く手放したいというケースでも買取再販は有効です。通常の仲介のように買主を探す必要がないので、契約までのスピードが非常にはやく、赤字を早期にストップできます。

仲介で物件を売った後に物件に欠陥が発覚すると契約不適合責任として、修理代や補償をしなければなりません。特に年数の立っている物件の場合は売主も気づいていないような不具合が発生していることがあります。仕方ないこととはいえ、売却後に費用がかかるのはリスクです。

一方、買取再販の場合は契約不適合責任を負わずに不動産会社に売却できます。

ここから紹介する買取再販を利用するメリットに通じているのは非常に手離れがいいという点です。買取再販なら早く後々手間がかかることなく売れるというのは売却に悩んでいる方にとっては嬉しい点なのではないでしょうか。

買取再販では買い取るのは不動産会社自身です。もちろん、そこから不動産会社がリノベーションをしたりさらに再販する買主を探しはしますが、売主と不動産会社の間で売却が成立すれば売主にはその時点で現金が手に入ります。

すぐにでも現金を作らなければいけない場合に買取再販は有効な選択肢です。

また、売却がすぐに決まるということは不動産が売主の手を離れるのも早いということ。持っているだけで赤字を垂れ流していたような物件であれば、売却がすぐに決まるのはありがたいです。

老朽化した物件、廃屋一歩手前の物件、僻地の物件、法的な問題でがんじがらめの物件など、仲介では難しい物件でも、買取再販なら売れる可能性があります。売却を諦めていた物件であれば、売れるようにするためのノウハウを持っている買取再販が得意な不動産会社に全部任せてしまうのも手です。

売却後に発生した欠陥による契約不適合責任を負わずに済みます。古い物件であればあるほど、この安心感は大きいかもしれません。

買取再販の最大のデメリットは金額に関することです。高く売ろうと思うなら仲介を利用するのが間違いありません。仲介だと売りにくい物件だから安くても買取再販で全部任せてしまおうと考えるのが良いでしょう。

どれくらい安くなるのかは物件にもよるので一概にはいえませんが、買取再販だと相場の半分以下の買取価格になることは珍しくありません。さらに老朽化が酷かったり僻地、法的問題など複数の要素が混在している場合は、まさに二束三文、ただ同然の価格になることもあります。

安い価格になる理由は不動産会社側でリノベーション、法的手続きなど売ることができる状態にする業務を行うため、コストがかかるためです。また、一時的にとはいえ不動産会社が費用を負担して購入するため、不動産会社にとっても売れるかわからない物件を保有するリスクが生じています。

そのため、相場より非常に安い価格になりますが、そのまま自身で保有している状況で生じるコストやリスクを考えれば、どんなに安くてもまずは手放してしまうという考え方も時には必要かもしれません。