同時履行の抗弁権(どうじりこうのこうべんけん)
双務契約の当事者の一方が、相手方においてその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる権利をいう(民法533条)。例えば、不動産の売主は買主がその代金を提供するまでは、目的物の引渡しや所有権移転登記の協力を拒むことができる。もし買主が目的物の引渡しを訴求してきても、「売主は買主から代金○○円の支払いを受けるのと引き換えに、買主に対し目的物を引き渡せ」という引換給付判決がなされる。同時履行の抗弁権は、契約が解除された場合にも認められる(同法546条)から、建物の売買で登記引渡しと代金支払いがそれぞれ完了していたようなときは、売主は買主かあら登記抹消建物返還(明渡し)があるまで、代金の返還を拒みうる。