断熱材の種類によっての特徴、メリットを解説<用語解説>
マイホームの新築時やリフォーム時にハウスメーカーから断熱材を提示されたけど、どれを選んだら良いかわからないという経験ありませんか?今回は断熱材の種類別の特徴について解説します。断熱材の種類によって、建築費用や、建築後の冷暖房代などのランニングコストが大き変わるため、基礎知識をしっかり持っておくのがおすすめです。
まずは3種類の断熱材大分類を知ろう
断熱材には大きく分けて3種類あります。現在最もよく使われるのが発泡プラスチック系ですが、用途によって適した断熱材があります。
繊維系
断熱材の中で最も歴史が古いのが繊維系です。ガラスや鉱物、古紙、木といった原料からできており、加工することで綿のようなクッション素材が出来上がります。クッション素材の空気層によって断熱効果を生み出します。
発泡プラスチック系
発泡プラスチック素材が本格的に断熱材として使われるようになったのは第二次世界大戦以降。プラスチックの中に気泡を入れることで空気をたくさん含んだ断熱材になります。軽くて断熱性が高いということで、現在世界で最もシェアが大きい断熱材です。
天然素材系
環境に優しく、無添加で人体への影響もないということで、ナチュラル志向の方に人気のあるのが天然素材系の断熱材です。価格帯としては他の素材よりも高級路線となります。
代表的な繊維系断熱材4種類
繊維系断熱材は主に4種類に分かれ、その中でも無機質系繊維系と木質繊維系があります。どちらも断熱だけでなく防音性が高いのが特徴です。
グラスウール(無機質繊維系)
グラスウールはガラスが原料の断熱材です。繊維が複雑に絡み合い、その中に空気をたっぷり含みます。ガラスだから火災に強く、さらに無機質素材なのでシロアリのような虫害にも強いのが特徴。さらに価格も安いため導入しやすく、スタンダードな断熱材として多くの建築物に使われています。使用用途が幅広いのも魅力で、一般住宅だけでなく、空調ダクトや排水管の保温・保冷、さらに吸音材としても高い性能があるため、音楽スタジオやホールでもよく使われます。
ロックウール(無機質繊維系)
ロックウールは鉱物が原料の断熱材です。玄武岩や天然岩石を高温で融解して作ります。高温に強いため耐火性に優れており、防音性も高いのが特徴。重量があるため、空港等の大規模施設に用いられることが多いです。石造の建物との相性が良く、欧米でよく使われる断熱材です。
セルロースファイバー(木質繊維系)
セルロースファイバーはパルプが原料の断熱材です。紙の原料にもなるパルプは元々木から作られており、天然繊維の断熱材ということになります。木は湿度調整機能があるため、熱だけでなく、湿気のない空間を作れるというメリットがあります。また、木質繊維は複雑に繊維が絡まっており気泡が多いため、熱も音もしっかり遮断します。
インシュレーションボード、シージングボード(木質繊維系)
インシュレーションボードは木のチップと水によって作られた木質繊維系の断熱材です。廃材などを溶かして繊維状にしたものを型にはめてボードを作ります。そのため、SDGsの観点からも環境にやさしい断熱材ということで注目を集めています。木の細かい繊維が絡まってできているため多孔質であり、熱だけでなく音もしっかり吸収します。音楽関係の施設に使われることが多いです。
ただし、インシュレーションボードは水や湿気に弱いという弱点があります。こちらの弱点を補ったのがシージングボードです。インシュレーションボードにアスファルトを塗ることで耐水性を増した断熱材です。
代表的な発泡プラスチック系断熱材4種類
発砲プラスチック系の断熱材は主に4種類に分類されます。使い勝手が良く、耐水性に優れ、廉価なものから高価格帯のものまで製品の幅が広いのが特徴です。
押出発泡ポリスチレン
ポリスチレンとは私たちの生活で最もよく使われているプラスチック素材です。これにさまざまな薬剤等を投入し板状に固めたものが押出発泡ポリスチレンとなります。人体に有害なホルムアルデビドを使用していないため、安全性が高くあらゆる建築物に使われる汎用性が高い断熱材です。耐水性に優れています。
ビーズ法ポリスチレン
私たちがよく目にする発泡スチロールは小さな粒がたくさん固まってできていますが、ビーズ法ポリスチレンはまさにこのタイプです。特徴としてはやはり耐水性が強く、さらに整形できる大きさや形の柔軟性が高いこと、また整形した後でもカッター等で切断も可能です。使い勝手の良さが魅力です。
ウレタンフォーム
ウレタンフォームは台所用スポンジのような素材というとイメージしやすいかと思います。軽く柔らかく、弾力性にも富んでいる高価格帯の断熱材です。耐久性や透湿性にも富んでいます。
フェノールフォーム
フェノールフォームとはフェノール樹脂というフライパンや鍋の持ち手に使われる樹脂に発泡剤等を加えて作った断熱材になります。耐火性に優れており、燃えても有害物質が出ません。高価格帯の断熱材になります。
代表的な天然素材系断熱材2種類
天然素材には主に2種類の断熱材があります。人体に優しいが、高価であるという特徴があります。
ウールブレス
羊毛を70%以上使った断熱材をウールブレスと呼びます。断熱性、調湿性に優れており、天然素材なので人体にも安心というメリットがあります。海外からの輸入になるため断熱剤としてはやや高価です。
炭化コルク
ワインのコルク製造時に出る端材や使用済みの廃材を使用して作るのが炭化コルクです。木質繊維系の機能に近く断熱性、調湿性、防虫効果に優れており、さらに天然素材なのが特徴。SDGsの観点からも地球にやさしい断熱材です。こちらも海外からの輸入になるため高価格帯となります。
断熱材の種類別の特徴を知って、マイホームに合うものを選ぼう
新築時やリフォーム時に、断熱材の種類についてよく知っておくことで、予算や実現したいライフスタイルに合う断熱材を選ぶことができます。建築時の予算を下げたいのか、性能が高い断熱材を選んで冷暖房のランニングコストを下げたいのか、人体にできるだけ影響のないものを選びたいのかなど、さまざまな視点がありますので、断熱材の種類別の特徴は基礎知識として持っておくのがおすすめです。
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