不当利得(ふとうりとく)
法律上の原因なくして、他人の財産または労務により財産的利益を受け、これがために他人に損失を及ぼした者に、その利益の返還を命ずる制度をいう(民法703条以下)。土地の売買契約が詐欺を理由に取り消されたとき売主が受領済みの代金を、また買主が土地の占有や登記をそれぞれ相手方に返還するようなことがその例。返還の範囲は、善意の受益者にあってはその利益の存する限度であり(同法703条)、悪意の受益者にあってはその受けた利益に利息をつけ、もし損害があればその賠償もしなければならない(同法704条)。ただし、民法121条(取消しの効果)、196条(費用償還請求権)等の特則があるときはそれに従う。