自力救済(じりききゅうさい)
司法手続きによらず、自力でその権利を実現することをいう。自力による権利の行使を広く認めると、社会秩序が混乱するおそれがあるので、国家の権力が確立された今日では、私権の実現は司法手続きによって行うのが原則であり、自力救済は場合により不法行為となる。例えば、甲の所有地に乙が無断で家を建てた場合、甲は司法手続きにより土地所有権に基づく建物収去・土地明渡し請求を行うべきであり、自力でその家を収去すると、損害の賠償をさせられる。ただし、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能、または著しく困難であり、緊急やむをえない特別の事情のあるときは、例外的に許されることがある。