非訟事件(ひしょうじけん)
私人間の生活関係について、裁判所が通常の訴訟手続きによらないで後見的に介入し、紛争の予防や除去を行う事件をいう。その処理のための一般法は、非訟事件手続き法である。裁判所は、法律に基づき権利義務の存否を判断するのではなく、裁量的にその具体的内容等を定める点に特徴がある。最近非訟事件とされた借地権の譲渡転貸の許可を例にとってみても、許可をするかどうか、許可に伴い借地条件の変更、または財産上の給付を命ずるかどうか等に関しては、借地権の残存期間、土地の状況等一切の事情を考慮することを要すとして裁判所に広い裁量を認めている(借地借家法19条)。非訟事件は、職権による探知により(非訟事件手続法11条)、非公開で審判される(同法13条)。