住宅を売却した時の特例
居住用3,000万円特別控除の特例
内容
自宅を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得から最高3000万円までの控除が受けられる。ただしこれを利用すると、買い換え先の住宅を購入するときには、住宅ローン控除が使えない。つまり手持ち物件の売却に「3000万円特別控除」を使うか、買い換え物件の購入に「住宅ローン控除」を使うか、どちらかを選ぶ必要がある。
主な条件
- 持ち主が自分で住んでいた住宅の売却(土地のみは原則として対象外)
- 転勤などで実際に住んでいない場合には、住まなくなってから3年目の年末までの売却
- 家屋を取り壊してから売却する場合は、取り壊し後1年以内の売却
- 店舗併用住宅の場合は、居住用部分についてのみ適用。居住用部分が全体の9割以上ある場合には、全体を居住用として適用
- 持ち主と特別な関係にない人に売却。特別な関係とは、配偶者、親子、祖父母、孫、生計を一にする親族、内縁関係にある人とその親族など
- 売却した年の前年と前々年に、この制度の適用を受けていないこと(3年に1度しか適用されない)
- 3000万円特別控除の適用を受けるには、売却した翌年の3月15日までに申告すること。なお、必要書類は「確定申告書」「譲渡所得計算明細書」「住民票」など
居住用3000万円特別控除の適用可否チェックリスト
居住用3000万円特別控除の計算表
居住用低率分離課税の特例(措法31条の3)
内容
所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の特例で通常より低率の税率が適用されます。
居住用3,000万円特別控除の特例と居住用低率分離課税の特例は重複通用が可能です。
土地等・建物とも所有期間(居住期間ではない)が10年超が要件ですが、過去に建物を建て替えていた場合は、建物の所有期間は建て替え後の期間で判定します。
主な条件
所有期間が10年超であることという条件以外は、居住用3000万円特別控除の特例とほぼ同じです。
低率分離課税の適用のある場合には、通常の長期譲渡所得の税率に代えて、次の税率を適用する。
(注)3,000万円特別控除を受けられない場合でも、低率分離課税のみ受けられる場合もあります。
居住用低率分離課税の特例の適用可否チェックリスト
居住用低率分離課税の計算表
特定の居住用買換の特例(措法36条の2)
(1)内容
この特例を受けると、売却によって生じた譲渡所得のうち、次の買い換えに充てた金額分は、次の買い換えまで課税が繰り延べにできる。
この適用を受けられる場合にも、「3000万円特別控除」とどちらか一方を選ばなければならない。譲渡所得税がそれぞれいくらかかるかを計算し有利なほうを利用したい。
この特例を受けたときも買い換え先の住宅には「住宅ローン控除」は使えない。
売却する住宅の主な条件
- 「3000万円特別控除」が受けられる条件を満たしていること
- 売却した年の1月1日までの所有期間が、土地、建物ともに10年を超えていること
- 本人が10年以上住んでいること
買い換え先の住宅の主な条件
- 所有者本人の住宅であること
- 所有していた住宅を売却した年の前年から翌年の年末までに購入した住宅であること
- 購入した年の翌年末までに本人が住むこと
- 建物の床面積が50m²以上であること
- 土地の面積が500m²以下であること
- 耐火建築物は築25年以内であること
(2)特定の居住用買換の特例適用買換資産の取得価額と譲渡所得金額
特定の居住用買換の特例の適用を受けた場合の買換資産の取得価額は、買換資産の実際の購入代金等ではなく、次の区分によるそれぞれの金額になります。
以後その金額を対象に減価償却費の計算を行います。
|
買換取得資産の 取得価額 |
譲渡所得金額 |
(1)A=Cの場合 |
B |
- |
(2)A<Cの場合 |
B+(C-A) |
- |
(3)A>Cの場合 |
B×C/A |
(A-C)-B×(A-C)/A |
(注)
A=譲渡代金
B=譲渡資産の取得費・譲渡費用
C=買換資産の取得価額(仲介手数料、登記費用等を加算)
(3)買換資産の取得日(取得日の引継ぎなし)
買換資産の取得日は、買換資産を実際に取得した日です。
適用可否チェックリスト
居住用買換の計算表