不動産トピックス

国土交通省が２３日に発表した２００９年１月１日時点の公示地価は、全国平均が共にで前年と比べマイナス３．５％となり、３年ぶりに下落した。全国の調査地点でも公示地価が上昇したのはわずかに２３地点のみで、前年の約１万２０００地点から激減しており、１９７０年の調査開始以来過去最低となっている。

下落した背景には景気の悪化、新規分譲マンションの販売不振、投資・融資等の資金調達環境の悪化等を背景として土地に対する需要が減退していることや、オフィスビル等における空室率の上昇、賃料の下落等により収益力についても一部で低下する傾向が見られたこと等がある。

３大都市圏（東京・名古屋・大阪）では、前年度までは住宅地は２年連続、商業地は３年連続で上昇を示していたが、今回は３大都市圏の平均で見ると、住宅地はマイナス３．５％、商業地はマイナス５．４％の下落に転じ、地方平均を上回る下落となった。昨年の後半から地価が、上昇から下落に転じたり、下落幅が拡大している。
地方圏全体でも住宅地・商業地ともに前回まで４年連続で平均で下落幅が縮小してきたが、住宅地が平均でマイナス２．８％、商業地はマイナス４．２％と今回は下落幅が拡大した。今回上昇した２３地点は、すべて地方圏だった。特色あるまちづくり、市街地整備、交通基盤の整備等の取り組みによって利便性・収益性の向上等を行っている地点で上昇している。

住宅地の全国平均は前年比マイナス３．２％と３年ぶりに下落した。
３大都市圏はマイナス３．５％と３年ぶりの下落となり、下げ幅は全国平均を上回った。東京２３区では、前回１０．４％の上昇から一転して平均でマイナス８．３％と下落しており、中でも区部南西部では、前回１０．６％の上昇から平均してマイナス１０．１％と一転して大幅の下落となっている。港区では、９年ぶりに平均で下落となり、渋谷区では、８年ぶりに平均で下落となった。両区は、マンション需要や収益性期待の不動産投資等を背景に高い上昇を示した地点が多かったが、景気の悪化等により需要が減退し、地価下落となった。
地方圏では、前回マイナス１．８％から平均でマイナス２．８％の下落となり、前回まで縮小していた下落幅が拡大した。

全国の住宅地でも渋谷区大山町は１８．３％下落して、全国トップの下落率を記録した。住宅地の下落率の上位１０地点のうち、９位の名古屋市東区徳川町以外は渋谷区、港区、目黒区が占めており、都心部での地価の下落の大きさを示した結果となった。

商業地の全国平均はマイナス４．７％と３年ぶりに下落した。
３大都市圏はマイナス５．４％と平成１７年以来４年ぶりの下落となった。東京都区部では、平均で８．１％と前回の１７．３％という高い上昇率から下落に転じた。港区では、収益性期待の不動産投資、オフィス・店舗併用マンションの需要等に支えられ、前回は２０％を超える高い上昇を示した地点が多かったが、今回は景気の悪化、資金調達環境の悪化、オフィス需要の減退等によりほぼ全ての地点で二桁の下落となった。一方で、都心部の地価水準の高い高度商業地は、比較的下落幅が小さく堅調さを示した。
商業地の下落率全国１０位のうち９地点は、愛知県名古屋市だった。トヨタ自動車などの製造業の業績悪化により下落に転じた。全国の下落率１位は名古屋市中区栄４丁目で２８．４％下落しており、これはすべての用途を通じて全国最大の下落率となっている。