大都市圏の都心部では上昇
国土交通省は3月23日、平成18年地価公示を発表した。それによると、全国全用途平均は15年連続で下落している。ただ、大都市圏の都心部では上昇地点が増え続けている。例えば、東京都区部では上昇地点が住宅地、商業地ともに8割に達している。個別ポイントの上昇率を見ると、港区南青山の住宅地が全国上昇率上位の1~3位を占め26%~29%にも達した。商業地では名古屋駅前で38%上昇した2地点が全国上昇率1~2位を占めた。地方圏では、ブロック中心部の堅調さが目立ち、特に札幌市では商業地が平均2.1%、住宅地が0.1%と唯一、共に上昇している。
東京都が平均で上昇
都道府県別変動率では、東京都だけが15年ぶりに住宅地(0.8%)、商業地(2.9%)共に平均で上昇している。
東京都は都区部の住宅地が平均で2.2%、商業地が3.7%上昇している(表1を参照)。中心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)に限ると、住宅地は8.5%、商業地は7.0%の上昇。前年の上昇率と比べても6~7ポイント高い。調査ポイントのうち、上昇地点が占める割合は都区部の住宅地、商業地共に8割に達している。前年の割合は、住宅地が13%、商業地が18%だったから、この1年で急激に上昇地点が拡大した。
東京圏全体に目を転じると東京都以外の神奈川、埼玉、千葉、茨城の4県は平均でまだ下落基調が続いている。ただ、千葉県の商業地だけは横ばいに転じている。
|
住宅地 |
商業地 |
平成17年 |
平成18年 |
平成17年 |
平成18年 |
東京都全域 |
△1.7 |
0.8 |
△0.9 |
3.0 |
東京都都区部 |
△0.3 |
2.2 |
△0.5 |
3.7 |
区部都心部 |
0.9 |
6.3 |
△0.3 |
5.0 |
区部南西部 |
△0.2 |
1.5 |
△0.3 |
2.8 |
区部北東部 |
△0.9 |
0.9 |
△1.3 |
1.1 |
多摩地域 |
△3.1 |
△0.7 |
△2.7 |
0.0 |
神奈川県 |
△3.7 |
△1.8 |
△4.4 |
△1.8 |
横浜市 |
△3.2 |
△1.4 |
△4.1 |
△1.4 |
川崎市 |
△2.8 |
△0.2 |
△3.7 |
△0.5 |
その他 |
△4.3 |
△2.8 |
△5.0 |
△2.9 |
埼玉県 |
△3.4 |
△1.6 |
△3.8 |
△1.5 |
さいたま市 |
△1.8 |
△0.1 |
△3.4 |
△0.5 |
その他 |
△4.9 |
△2.7 |
△6.0 |
△3.1 |
千葉県 |
△4.2 |
△1.2 |
△4.8 |
0.2 |
千葉市 |
△4.2 |
△1.1 |
△4.4 |
0.5 |
その他 |
△4.2 |
△1.3 |
△4.9 |
0.2 |
茨城県 |
△7.8 |
△4.5 |
△8.9 |
△6.3 |
東京圏 |
△3.2 |
△0.9 |
△2.5 |
1.0 |
(注)
区部都心部とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区の各区
区部南西部とは、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区の各区
区部北東部とは、墨田区、江東区、北区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区の各区/
都内公示地価、23区すべてで上昇・横ばい
東京圏住宅地の上昇率を市区町村別に見ると、東京都港区が18.0%。第2位がTX(つくばエクスプレス)効果の茨城県守谷市で14.2%。3位が渋谷区で9.2%、4位が千代田区で7.4%、5位が浦安市で5.9%と続く。
港区、渋谷区が高いのは伝統的な高級住宅地が多く、住宅地の上昇率全国ランキングで上位10地点のうち4位の渋谷区以外はすべて港区の南青山、南麻布、西麻布、高輪、白金という地点がしめている。地価高騰が玉突き的に拡大していったバブル時代と異なり、住宅地の価格はブランド志向が一段と強まっている。
郊外の住宅地では、TXの守谷駅周辺では、上昇地点が13地点もあり、最高で百合丘2丁目の16.5%も上昇している。しかし、TX効果の及ばないエリアでは下落率上位のトップと3位、4位を占めているなど両極端である。
東京圏商業地の上昇率を市区町村別に見ると、住宅地と同様に港区がトップで11.2%。第2位が渋谷区で11.1%。3位が千葉県市川市で9.1%、4位が浦安市で8.0%、5位が中央区で7.6%と続く。
港区の商業地で上昇率が高いのは青山周辺で、国道246号沿いの「東京建物青山ビル」(北青山3丁目)は28.6%も上昇した。東京圏商業地の個別地点ランキングで第1位は「第21SYビル」(神宮前5丁目)で30.5%も上昇した。
郊外では立川、横浜、大宮、柏の各駅周辺で上昇地点が目立ち始めた。
2006年公示地価 公示価格一覧